パーソナルトレーナーSeijiのブログ

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酸化防止剤無添加ワインって、本当にカラダにいいの?

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 適量のワインはカラダに良いとされています。赤ワインには抗酸化物質のポリフェノールを多く含まれ、老化(=カラダの酸化)を防ぐ効果があるので、当ブログでもおすすめしています。また、白いワインには、血糖値の上昇をおさえる効果があり、ダイエット効果があることがわかっています。(参考1:Effects of moderate consumption of white wine on weight loss in overweight and obese subjects, 2004 Nov)

 

ところで、最近は「酸化防止剤無添加のワイン」がよく売れているみたいです。

なんとなくカラダに良さそうですが、本当のところどうなのでしょうか?

酸化防止剤が入っている「ふつうのワイン」はダメなのでしょうか?

 

このような疑問に答えるために、この記事では、酸化防止剤無添加のワインについて、詳しく書きました。

 

酸化防止剤とは?

まずはじめに、そもそもなぜ食品に酸化防止剤を使うのでしょうか?

それは、食品の劣化を防ぐためです。食品は、空気中の酸素にふれると「酸化」して、劣化していきます。リンゴがわかりやすい例ですね。切ったリンゴを置いておくと、茶色く変色して、劣化していきますよね。あれが酸化です。

酸化防止剤は、酸化防止剤自身が酸化されることによって、食品の酸化を防ぐ効果があります。

 

一口に「酸化防止剤」と言っても、いくつかの種類があり、様々な食品で使われています。たとえば、「L-アスコルビン酸(ビタミンC、V.C)、エリソルビン酸(イソアスコルビン酸)、カテキンなど」と呼ばれるものがあります。(参考2:東京都保健福祉局 食品衛生の窓 東京都の食品安全情報サイト)

 

そのなかで、ワインには「亜硫酸(または亜硫酸塩)」という酸化防止剤が使われています。

 

ちなみに、食品添加物の表示については、消費者庁で管轄されており、そこでは「用途名」と「物質名」を併記しなければならない、と定められています。(参考3:消費者庁 食品添加物表示に関する情報)

なので、ワインには「酸化防止剤(亜硫酸)」と表示されています。

 

用途名 → 酸化防止剤

物質名 → 亜硫酸

ということです。

 

亜硫酸とは?

では、亜硫酸とはどのような物質でしょうか?

 

すごく簡単に言うと「硫黄」が形を変えたものです。

酸化した硫黄(二酸化硫黄:SO2)が、水(H2O)の中に溶けた状態を、亜硫酸(H2SO3)といいます。(亜硫酸を中和したときに生成される塩のことを「亜硫酸塩」といいます。酸化防止剤としての効能はどちらも同じです。)

(参考4:ウィキペディアWikipedia) 亜硫酸)

 

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写真 硫黄(参考5:ウィキペディアWikipedia) 硫黄)

 

硫黄は自然界に存在し、火山の近くなどでとれます。古くは、エジプト時代やローマ時代から、硫黄を燃やして「亜硫酸ガス」を発生させて、ワインづくりに使っていたそうです。

 

ワインづくりにおける亜硫酸の効果は、主に以下の2つです。

 

酸化防止

亜硫酸は酸化しやすい物質です。ワインのなかで、他の物質に先がけて酸化することで、ワインが酸化して劣化することを防いでくれます。

 

殺菌

亜硫酸には殺菌効果があります。ワインを醸造するための樽(タル)などの醸造器具を殺菌して、微生物の繁殖による劣化を防いでくれます。

 

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 亜硫酸なしで、ワインの品質を保つことは難しいと言えます。ブドウが収穫されてから、消費者が手にとって飲むまでに、ワインはあらゆる場面で酸化や微生物による劣化にさらされます。それらを防いで、ワインの品質を保ってくれるのが亜硫酸です。

 

亜硫酸は、ワインづくりにおいて2千年以上も前から使われており、どんな高級ワインにも入っています。ワインづくりには不可欠な存在と言えます。

 

酸化防止剤(亜硫酸)のカラダへの影響

それでは、酸化防止剤(亜硫酸)のカラダへの影響はどうなのでしょうか?

 

ワインに限らず、すべての食品において、「使用可能な食品添加物」と「その使用上限」は、食品衛生法第12条に基づき、厚生労働省によって定められています

また、食品添加物の安全性については、食品安全委員会において、動物を用いた毒性試験結果などの科学的なデータに基づいて、健康への悪影響がないとされる上限量が設定されています。(参考6:厚生労働省 食品添加物 よくある質問(消費者向け))

 

食品中の亜硫酸の使用上限は以下になります。

亜硫酸を使用できる食品 上限量
かんぴょう 5,000mg/kg
ドライフルーツ 2,000mg/kg
干しぶどう 1,500mg/kg
乾燥じゃがいも、ゼラチン 500mg/kg
果実酒(ワイン含む)雑酒 350mg/L
天然果汁(濃縮還元ジュースの元) 150mg/L

(参考7:公益財団法人 日本食品科学研究振興財団 食品添加物使用基準)

 

ワインは350mg/Lです。ドライフルーツの2,000mg/Lと比べると、かなり少ない上限量になっていますね。

 

また、オーストラリアやニュージーランド、チリでは250mg/L。EUでは赤ワインで150mg/L、白・ロゼワインで200mg/L。EUのオーガニックワインでは赤ワインで100mg/L、白・ロゼワインで150mg/Lと定められています。

 

このように、法律によって基準値が管理されているうえに、ワインに含まれる酸化防止剤(亜硫酸)の量は、他の食品より少ないので、ほとんどの人にとってカラダへの悪影響はきわめて少ない、と基本的には考えてよいでしょう。

 

たとえば、国際科学委員会(International scientific committees)とオーストラリア・ニュージーランド食品基準機関(FSANZ)は、「亜硫酸塩の安全性を徹底的に研究したうえで、ほとんどの人にとって、食品中の亜硫酸塩は安全である」と結論づけています。(参考8:Food Standards Australia & New Zealand, Sulphites)

 

むしろ、適量のワインはカラダに良いと考えられています。世界でもっとも長生きしたフランス人女性のジャンヌ・カルマンさんは、赤ワインが好きで、生涯欠かさなかったそうです。(参考9:ウィキペディアWikipedia) ジャンヌ・カルマン

 

ただし、わずかな人にとっては、亜硫酸でアレルギー反応がでるケースがあり、ぜんそく持ちの人だと、そのリクスは高いようです。また、ワインの亜硫酸が頭痛を引き起こすと言われることがありますが、これは亜硫酸が直接の原因ではなく、複数の原因が合わさって引き起こされている可能性があるようです。いずれにせよ、アレルギー反応や頭痛がでる人は、ワインを避けるべきでしょう。(参考10:The Wall Street Journal ワインに含まれる亜硫酸塩は体に悪いのか)

 

酸化防止剤無添加ワインとは?

さて、上記で酸化防止剤(亜硫酸)はワインづくりに不可欠であることを見ましたが、酸化防止剤無添加のワインはどうやってつくっているのでしょうか?

 

ちなみに、亜硫酸は添付をしなくても、ワインの中で自然と10mg/Lほど生成されます。これは、アルコール発酵のプロセスで、ワインの酵母が硫黄をつくりだし、それが亜硫酸へと変化するためです。

そして、ワインの亜硫酸の表示義務は10mg/L以上からとなっています。

これはつまり、ふつうにワインをつくっていれば、酸化防止剤(亜硫酸)は必ず表示されるということです。

酸化防止剤無添加と書いてありながら、ラベルには酸化防止剤(亜硫酸)と書かれているケースがあります。これは添付はしてないが、自然生成した、ということです。)

 

そこで、亜硫酸10mg/L未満という条件をクリアするために、酸化防止剤無添加ワインは、以下のようなプロセスでつくられます。

 

1. 果汁を冷凍保存して輸送

果汁を冷凍保存することで酸化を防いで、鮮度を維持します。海外からの輸入がほとんどです。

 

2. 加熱して殺菌

亜硫酸の殺菌効果の代わりに、加熱して殺菌します。

 

3. ハイパーオキシデーション

果汁にあえて酸素を大量に吹き込むことで、将来酸化の原因となる物資を酸素と結合させ、先に取り除きます。

 

4. その他

亜硫酸の自然生成が少ないワイン酵母を使う、腐敗した酵母を取り除くフィルターを使う、などの方法がとられます。

 

5. 甘みや酸味を人工的に添加

本来なら発酵によって生じる甘みや酸味を、人工的に添加します。

 

このように様々は技術を使った、科学的な方法でつくられています

 

酸化防止剤無添加のワインはカラダに良いのか?

それでは、酸化防止剤無添加のワインはカラダに良いのでしょうか?

ふつうのワインは買わずに、酸化防止剤無添加のワインを買ったほうが良いのでしょうか?

 

これについては客観的な指標がないので、断言することは難しいのですが、私は「ふつうのワイン」を買うべきと考えています。

 

これまで見てきたように、ワインは2千年以上ずっと飲まれており、適量のワインはカラダに良いと考えれています。また、酸化防止剤(亜硫酸)のカラダへの悪影響も、ほとんどの人にとっては心配することはありません。どんな高級ワインにだって、酸化防止剤(亜硫酸)ははいっています。

 

一方で、酸化防止剤無添加のワインは、酸化防止剤(亜硫酸)が入っていないとはいえ、そのためにとても科学的な製造プロセスでつくられています。それは、ふつうのワイン製造プロセスとはかけ離れており、逆に不自然と言えます。たとえば、冷凍した果汁を海外から輸入して、加熱殺菌しますが、それはもはやワインと呼べるのでしょうか。これは濃縮還元の野菜ジュースのつくりかたに似ています。なので、やや極端に言えば、「濃縮還元のブドウアルコール飲料」といった感じです。

また、酸化防止剤無添加のワインが売れ始めたのは、比較的最近です。なので、これがカラダに良いという証拠(エビデンス)も当然ながらまだありません。

 

このようなことから、ほとんどの人にとって、わざわざ「ふつうのワイン」から「酸化防止剤無添加のワイン」に乗り換える理由はないと考えます。ヒトの進化を考えれば、なるべく自然に近いものの方がカラダに良いと言えます。酸化防止剤無添加のワインは、科学的な製造プロセスによるデメリットの懸念が大きい、と私は考えています。

 

もし、酸化防止剤(亜硫酸)が気になる場合は、EUのオーガニックワインなど、亜硫酸の量を極力少なくしたものを選ぶのが良いでしょう。

 

もちろん、亜硫酸にアレルギー反応がある場合は、酸化防止剤無添加のワインは、良い選択肢の1つになるでしょう。

 

まとめ

  • 酸化防止剤(亜硫酸)はワインづくりに不可欠
  • ワインの亜硫酸によるカラダへの悪影響はほとんど心配ない
  • 酸化防止剤無添加のワインはより科学的なプロセスでつくられている
  • 筆者の意見は「ふつうのワイン」を飲むべき

 

お読みいただき、ありがとうございました!

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〈参考情報〉

参考1:Effects of moderate consumption of white wine on weight loss in overweight and obese subjects, 2004 Nov

参考2:東京都保健福祉局 食品衛生の窓 東京都の食品安全情報サイト

参考3:消費者庁 食品添加物表示に関する情報

参考4:ウィキペディア(Wikipedia) 亜硫酸

参考5:ウィキペディア(Wikipedia) 硫黄

参考6:厚生労働省 食品添加物 よくある質問(消費者向け)

参考7:公益財団法人 日本食品科学研究振興財団 食品添加物使用基準

参考8:Food Standards Australia & New Zealand, Sulphites

参考9:ウィキペディア(Wikipedia) ジャンヌ・カルマン

参考10:The Wall Street Journal ワインに含まれる亜硫酸塩は体に悪いのか